ここではアトピー性皮膚炎の患者さんが日常の生活で注意すべき項目について、そして治療法の基本について説明します。

《日常の生活で注意すべき項目》



1. 入浴と石鹸
皮膚のよごれ(アカ、アセ、フケなど)はかゆみを強くし、アトピー性皮膚炎を悪化させます。なるべく毎日入浴、普通の石けんをタオルにたっぷりつけて、全身をよく洗うことが大切です。皮膚炎を起こしている部分のカサブタや外用薬の残りも洗いおとします。アトピー用の石けん(低刺激性の石けん、弱酸性の石けんなど)は刺激は少ないのですが、洗浄力が劣っています。長い間使い続けていると、皮膚によごれが残り全身にかゆみがひどくなります。  





2. 冬季における衣類の洗濯について
冬季における被服部の皮膚乾燥の増強の原因の一つとして、衣類に残留する合成洗濯洗剤(蛋白分解酵素)の関与が考えられます。そこで、特に冬季に被服部の皮膚乾燥が増強する患者さんでは、冬季の衣類の洗濯にあたっては、洗濯洗剤が衣類に残留するのを少しでも減らせるように工夫すると良いでしょう。具体的には、すすぎの回数を増やしたり、温水を使ってすすいだり、洗剤の量を減らすこと等により、皮膚乾燥が軽減される可能性があります。





3. 保湿剤
「アトピー性皮膚炎患者の皮膚は生まれつき乾燥肌である」という説は誤りです。皮膚炎があるために、乾燥皮膚になっているのです。皮膚炎が治れば、普通のスベスベ肌にもどります。入浴後に保湿剤を全身に塗る習慣は止めてください。保湿剤は長い間使用しているとカブレ(接触皮膚炎)を起こし、全身が赤くなって、かゆくなります。ただし、魚鱗癬(サメハダ)を合併している患者さん(アトピー性皮膚炎患者の約15%)は、冬になると全身が乾燥しますので、冬の間だけ保湿剤を使用してください。





4. 食物
日常の食物(牛乳・卵・大豆・小麦・米など)の血液アレルギー検査(RAST法)を行うと、アトピー性皮膚炎患者さんの約半数(40%〜60%)で陽性に出ます。しかし、血液アレルギー検査陽性の食物を実際に食べさせてみると、皮膚炎が悪化するのはごく少数(1%以下)です。血液アレルギー検査でアトピー性皮膚炎の原因を決めることはできません。日常の食物は、血液検査が陽性に出たものでも、自由に食べてください。ただし、治療しても皮膚炎がよくならない場合、あるいはよくなってもすぐ再発する場合には、食物や飲物の影響を除去・投与テストで調べる必要がありますので、専門医に相談してください。





5. ダニ
ダニの血液アレルギー検査は、食物の場合と同様に、アトピー性皮膚炎患者さんの約半数で陽性に出ます。しかし、室内のダニが皮膚炎を悪化させることはほとんどありません。アトピー性皮膚炎患者さんには防ダニ対策(じゅうたん・タタミの除去、防ダニふとんなど)は必要がないのです。普通の部屋で普通に生活してください。





6. イソジン・強酸性水
アトピー性皮膚炎患者さんの皮膚をイソジン液や強酸性水で消毒する方法が一部の医師の間で行われています。しかし、この消毒法は治療にまったく役立ちません。イソジンは細胞毒です。これを皮膚の広い範囲に塗り続けるのは危険です。またイソジンを皮膚に長期使用していると、カブレを起こし皮膚炎が悪化します。





7. ストレス
深夜勉強、夜間勤務などで睡眠不足、疲労が続くとアトピー性皮膚炎は悪化します。また精神的ストレスも長く続くとアトピー性皮膚炎は悪化します。また精神的ストレスも長く続くと皮膚炎を悪化させます。「昼は起き、夜は寝る」生活のリズムを保ち、ストレスのたまらない生活環境を作ることが大切です。




治療法の基本へ

アトピー資料室(Top)に戻る




禁無断転載 Copyright © Sugiura Skin Clinic. All rights reserved.