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《はじめに》
アトピー性皮膚炎患者さんへの日常生活指導の目標は、患者さん自身に毎日の生活のなかで平常心でアトピー性皮膚炎とつきあってゆくための知識と技術を身に付けてもらうことにあります。すなわち、日々の生活において自分に作用する皮膚炎の「悪化因子を自覚しこれらを取り除く」具体的な知識や技術、およびスキンケアやステロイド剤などによる「的確な対処療法」を症状に応じて行い、アトピー性皮膚炎を自分なりにコントロールする技術を身につけてもらう事です。
外来を受診する一人一人の患者さんの話を注意深く聞き、患者さんとその主治医がなぜ皮膚炎が悪くなったのかについてその都度分析を重ねるという共同作業の過程を通じ、アトピー性皮膚炎の患者さんと皮膚科医が情報をうまく交換しながら進む時、アトピー性皮膚炎治療についての正しい展望が開けると信じています。
さて、多くのアトピー性皮膚炎患者さんはインターネットをはじめとする発信源不詳でかつ商業目的に関連したさまざまなアトピー情報にとりかこまれており、このような状況で、患者さんや家族の皆さんに短い診察時間内にきめ細かな日常生活指導を行うのは困難な場合もしばしばあります。日本皮膚科学会が提唱する「アトピー性皮膚炎の治療ガイドライン」においても、「悪化因子」や「対処療法としてのステロイド外用剤」の重要性については明確に記載されていますが、残念なことに一人一人の患者さんを診察・治療する際に必要となる悪化因子を取り除くためのきめ細かな技術までは記載されていません。*1
そこで、このアトピー性皮膚炎の悪化因子除去プログラムでは、ステロイド外用剤を用いて治療を受けている中等症以上の患者さんを対象に、この問題を解決するための実践的な知識と技術をできるだけ具体的かつわかりやすく述べ、患者さん自身にご理解いただけるように解説します。
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