《治療法の基本》



1. ステロイド外用薬の使用法
アトピー性皮膚炎の外用薬としては、ステロイド外用薬がもっともすぐれた効果を発揮します。入浴直後に、皮膚炎の起きている部分にうすくのばして、すり込みます。1日1回の使用で皮膚炎がよくなったら、塗る回数を2日に1回、3日に1回と減らしていきます。なお、1日1回の使用で皮膚炎がよくならない場合には、その薬は自分には合っていないと考え、ほかの薬にかえてもらいましょう。  



ステロイド外用薬の副作用
ステロイド外用薬正しく使えば副作用はほとんど起こしません。しかし、長期間ステロイド外用薬を漫然と使い続けていると、多毛(毛深くなる)、皮膚萎縮(皮膚がうすくなる)、ニキビなどの副作用が出てきます。ステロイドの副作用は、強いステロイドでも弱いステロイドでも起こります。「弱いステロイドは安全」と考えてはいけません。成人患者の顔に弱いステロイドを塗り続けていると、ステロイド顔面紅斑(赤い顔)になることがあります。なお、ステロイドの副作用は、ステロイドの使用を中止して、適切な治療を行えば治ります。







2. プロトピック軟膏(タクロリムス軟膏)
最近発売された新しい外用薬で、ステロイドとはちがう免疫抑制剤の外用薬です。顔面の皮膚炎、とくにステロイド顔面紅斑に有効です。副作用はステロイド外用薬に比べて少ないのですが、専門医の指導を受けながら使用してください。





3. 抗ヒスタミン剤と抗アレルギー剤
アトピー性皮膚炎の内服薬には抗ヒスタミン剤あるいは抗アレルギー剤を使います。眠気などの副作用が出ることがありますので、自分に適した内服薬を主治医と相談して決めてください。





4. 重症アトピー性皮膚炎の治療
アトピー性皮膚炎が重症化すると、年齢に関係なく、患者さんの15%〜20%に白内障(アトピー性白内障 )が出てきます。重症の患者さんにはステロイド短期内服を併用して、なるべく早く皮膚炎を軽症レベルにコントロールします。皮膚炎が中等症〜重症である患者さんは、定期的に(年に数回)、眼科で白内障の検査を受けてください。





5. 悪化原因の検査
以上の治療でなかなかよくならない場合、あるいはよくなっても再発を繰り返す場合には、専門医で悪化原因の検査を受けてください。外的な悪化原因はパッチテスト・光パッチテストで調べ、内的な悪化原因は除去・投与テストで調べます。悪化原因を見つけて除去すれば、皮膚炎は普通の治療でよくなっていきます。



治療には信頼のおける皮膚科の専門医を選び、必ず治ることを信じて正しい治療を受けることが大切です。


悪化因子を取り除く 〜はじめに〜

アトピー資料室(Top)に戻る




禁無断転載 Copyright © Sugiura Skin Clinic. All rights reserved.