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当院の開院前においては、アトピー性皮膚炎の治療と原因解明を研究テーマとする滋賀医科大学皮膚科において、永年研究を重ねてまいりました。
数多くの診察のなかで、アトピー性皮膚炎の患者さまたちは「いろいろな病院で治療を受け、またアトピーに効くという漢方や民間療法も続けてみたが、皮膚炎はよくならない」と訴えられます。
なぜよくならないのか。その原因について調べた結果、重症患者の約90%は (1)生活指導に誤りがあり、また (2)不適切な治療を続けていることがわかりました。
日本では、残念なことに諸外国では信じられないような重症アトピー性皮膚炎患者が少なくありません。19世紀から20世紀の前半でみられたような重症例が増えています。
この理由は、マスコミ報道やアトピービジネスの興隆によりステロイド剤はアトピー性皮膚炎をより悪化させるものと自己判断してステロイドの外用を無計画に中止する方が増加しているからです。またそのような無治療による重症化の結果、アトピー性白内障の合併も増加しているようです。大変残念な現象です。
アトピーは良くなったり悪くなったりしながら慢性の経過をたどります。このアトピー性皮膚炎固有の自然経過の複雑さが、安易な脱ステロイド、アトピービジネス介入のすきを与える背景の一つになっています。
アトピーは悪化因子を正確に見つけ、それを取り除く生活と正しい治療を行えば治る病気です。ある療法が効かなかったからといって、自分を責める患者さまもおられますが、そんな必要は全くありません。患者さまそれぞれの症状の原因が異なるだけの話です。
外来を受診する一人一人の患者さまの話を注意深く聞き、患者さまとその主治医がなぜ皮膚炎が悪くなったのかについてその都度分析を重ねるという共同作業の過程を通じ、アトピー性皮膚炎の患者さまと皮膚科医が情報をうまく交換しながら進む時、アトピー性皮膚炎治療についての正しい展望が開けると信じています。
アトピーでお悩みの方は、当院へお気軽にご相談ください。
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